4月1日(金)
旧高嶋邸見学

 

見学に行ってもすぐまとめられなくて、
いつも1ヶ月遅れの報告になります。
でもさあ、誰も待ってないもんね(急にいじけた気分になる・・・)
まあ、いいか・・・!(ぶつぶつ・・・)

<旧乾邸>活用応援倶楽部主催
「名建築で学ぶ六甲山麓の文化」に参加しました。

この会の趣旨はとても私のフィーリングに合ったので会員にりました。
<旧乾邸>については後日お伝えするとして、
今回の「甲南漬物語」おもしろかったので、さっそく紹介しましょう。

旧高嶋邸
設計:清水栄二
竣工:昭和5年(1930)
施工:早駒組
(鉄筋コンクリート及び木屋)

このたてものは酒造家、二代目高嶋平介が自宅として建てたものです。

先代の清酒会社から、みりん製造へ、
その酒粕やみりん粕を利用して作った奈良漬が、
この「甲南漬」として販売されたころのことです。

邸宅とお店を一緒にした建物を・・・という注文をした結果、
この斬新な デザインを受け入れた高嶋平介の人となり、
高嶋家の家風をレクチャーで学びましたが、
まあ、百聞は一見にしかず、まあこのとおり、ドヒャ〜の強烈な印象です。

設計は、清水栄二。
公共建築を専門としていただけに、個人邸とは思えぬ主張が感じられます。
(西池尻公会堂・御影公会堂など)
ドイツ表現派という前衛的な特徴を持っています。
この前衛的、というのは建築など限らず、不安やイライラを伴いますが、
それを個人邸宅に取り入れた勇気、
設計者も依頼者も あっぱれです。

ただ、引きつける力、印象に残る、と言う意味では大成功。
職住一体であったのですから、
お店の宣伝・広告塔としては充分だったと思います。
資料によりますと、ドイツのアインシュタイン塔や、
それに影響された東京電報蓮和局などの流れがそのまま活かされているそうです。

六角形の一部が飛び出たかっこうの二階洋間は主寝室。
ちょっとおしゃれな学校を連想させます。

手前が西、
左手が北となります。
ヴォートル部分の形が放物線の変形型尖塔になっています。
パラボラ・アーチと呼ぶそうです。

やっぱり変わっています。
このラインは、家のあちこちでデザイン化され、見受けられます。

この平介さん、相当の新しモノ好きだったようで、
自転車・側車のついた大型オートバイ・ハーレーダビッドソン、
電動レジスターなどなどをいち早く手に入れていたそうです。
あ〜、小説にでもなりそうな人物ですね。
先日「アビエーター」観ましたが、
規模こそ違え、
デカプリオ演じるハワードみたいね、まったく・・・。

さっきの全く反対面、東から臨んだ景色です。
このおもしろい建物は、
鉄筋で作りながら、その中に和風の木造を組み込んだことです。
もっとおもしろいのは、
2階の子供部屋も主寝室も完全なる洋間なのに、
お店である一階部分に和室が多いと言うことです。

(応接間はりっぱな洋間ですが。)

この部分、
本来は渡り廊下でさらに15畳の和室2つをもつ離れがあったそうです。
阪神大震災で今はありません。

この1階和室部分で、
和風庭園を眺めながらお食事ができるようになっています。
そこが「平介茶屋
」です。

梅が満開でした。

和室より庭を臨む。
ここに座っていますと、鉄筋コンクリートの家だと言うことを
忘れてしまいます。

ここでお昼をいただきました。
高野豆腐のうま煮・ぬか漬けサラダ・味噌漬けの焼き魚
みそ汁・漬け物盛り合わせ・ごはん・デザートで
1000円!

このご飯は、赤煉瓦の釜戸で炊いています。
もしかしたら、ご飯とおつけモノだけでもいいかもしれない。
それくらいおいしいご飯でした。
ただ、おつけモノの中に、甲南漬がなかった!

他の会員さんも同じことを思っていたらしいのですが、
それはなぜか?
「帰りに、お店で甲南漬けを試食して買って帰ってね、」
ということらしい。
はいはい、私はそういうことに貢献 しながら、
古い建物の保存に協力しているのでした!

さて、横道に逸れました。
もう一度入り口からじっくり観ていきましょう。
玄関はとてもおしゃれです。
ただ、平介茶屋などのお店にしたことで、
バリアフリーを考えスロープを作ったことから、
階段が一部見えなくなり、全体の良さが消えてしまいました。
円形の庇や階段のデザインが活かされてなくて、ちょっと残念。
お食事の案内や看板が、
さらに雰囲気を半減させています。
玄関の門灯も階段や庇に合わせたデザイン。
かっこいいね!
木の看板には、「甲南漬資料館」と書いてあります。
ヘデラで隠れている具合もかっこいい。
(私としては、これだけでいいのに・・・と思ってしまいますが、
それは心の中で思うだけ!)
玄関ロビーのタイル。
やはり、住居というより、会社の顔としての気持ちが強いようですね。
華やかで、今私が感じるのはキッチュというか、おしゃれというか・・・。
玄関の壁に取り付けられた壁泉です。
(水が流れ落ちる飾り)
大阪倶楽部とか、公会堂なら分かりますが、
普通の家でこれは大げさですね。
でも1階部分はお店でもあったわけですから
当然と言えば当然です。
訪れたお客さんもビックリしたことでしょう。
今は水も流れませんし、
このような黄色の漬物用プラスチック容器が
積まれていました。(ちょっとどこかに片づけたらいいのに・・)
1階の廊下は天井が高く、学校の廊下を連想させます。
ご覧のように、わずかばかり蛇行しています。
その廊下の突き当たり。
その奥はトイレ、バスのコーナーです。
便所、お風呂と書かなかったのは、
まさに全館オールヒーティング、温水設備完備という豪華さ。
当時では、夢のようなお家ですね。
これについては、また次回述べます。

真正面に二つのステンドグラスと大時計が見えます。
近くに寄ってみましょう。

どうです?
この壁掛け時計は、写真で見るよりずっと大きいです。
時計に合わせて窓の大きさを決めたか、
ステンドグラスに合わせて時計を探したか。
どっちにしても圧倒されます。

玄関横に応接間があって、
その横にこの客間があります。
客間と設計図には書いてありますが、
私が思うに、
暖炉の火が燃え、ここで誰かがピアノを弾き、
いつもここには 人が集っていたのではないかということです。
なぜなら、
2階の個人邸には家族が集うスペースが無いからです。
大きな他面の窓、高い天井・・・
サロンとしての品格が備わっています。

今もここでお茶など注文すれば、くつろげます。
当時のままに保存されています。
それがまたいい感じ!なのです。

さて、次回は細かく装飾や家具などを見ていきましょう。

 
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